地方都市の問題点を考える 第2回
人口減社会に備える
地方都市では、若者人口の減少が著しく、各自治体とも大きな問題となっています。
私が現在取り組んでいる三江線と呼ばれる、広島の三次市から島根県江津市を結ぶ路線は現在日本で2番目に利用者が少ない鉄道として廃止が取りざたされている。
実は、この線区は調べてみると昭和50年に開通するまでは、三江南線・三江北線と呼ばれる、二つの盲腸線(途中で線路が途切れるローカル線の意味)でした。
それが、当時の国策で何とか線路はつながったものの…、実績は変わらず。
実はこの路線は今から50年以上前の昭和36年当時でもワースト10に入るほどの赤字線でした。
そして、昭和43年の赤字83線でも、当時の北線とともに、廃止候補入り。
さらに、国鉄改革の際も廃止候補に挙がりましたが、代替道路未整備ということで廃止から免れたと言う経緯があります。
逆に考えれば、こうした地域はその頃から人口自体の集積が少なかったわけで、それに対して何もしてこなかったと言うのが現状と言えましょう。
地方はこれからどうして生き残りを図るべきか。
- 若い人の定住促進(生産年齢人口の増加)
- 定住者への職業機会の提供
- 既存技術に囚われない、新しい産業の振興
思いつくまでに簡単に書いてみたが、考えればもっとあると思うのだが、大まかに考えれば、生産年齢人口を増やすこと(15歳から65歳までの人口を増やすことであり、特に結婚適齢年齢の20歳以上35歳未満までの男女の増加が一番望ましいわけです。)
高齢者による都心回帰が進んでいる?
一時期、「定年後は田舎暮らしでのんびり」と言った傾向がありそうしたちょっとしたブームになりましたが、最近の傾向を見ていますと、むしろ高齢者の都心回帰が進んでいます。
関東圏でも、埼玉・群馬に引っ越したけれど再び東京に帰ってくる、そんな傾向があると言われています。
その理由は、
- 医療施設等の問題、地方では十分な医療が受けられないのではないかという不安を抱く高齢者が多いのです。
- 公共交通機関の不足、若いうちは自動車で運転してどこでも自由に移動できるが高齢になると運転は不安になってくるので、出来るのであればタクシー・バスもしくは鉄道等の公共交通機関を利用することで、移動の担保を図りたい。(交通権の確立、もちろん、移動権による権利の濫用は許されるべきものではなく公共の福祉の観点から考える必要があり、当然のことながら個々人の利益が優先されるべきものではありません。)
- 昔ながらの友達がいない。
まぁ、3番目の問題は個人の問題としたとしても、1・2番の問題は、政策的な部分で解決できるのではないでしょうか。
参考
http://www.mlit.go.jp/kohoshi/2010_06-07/A3.pdf#page=1&zoom=auto,-40,842
若い人の定住促進と定住者への職業機会の提供はセットで考えるべき問題
こちらも併せてお読みください。
具体的にはどのように考えれば良いのでしょうか。
- 農業が中心の地域であれば、農家を増やす努力
- 漁業が中心の地域であれば、漁師を増やす努力
- 観光で振興を図るには、・・・一番注意しなくてはなりません。
今回は、農業を例にとって具体的な説明をさせていただこうと思いますが、その前に観光で地域振興を図ると言うのはかなりリスクが大きいと言わざるを得ません。
特に、市役所などが中心になって行う官製の観光振興策は先ず失敗すると言っていいでしょう。
農業が中心の地域であれば、農家を増やす努力を
最近のニュースで2050年には、農業人口が現行では半減すると言われています。
基幹的農業従事者と常時雇用者を合わせた「農業就業者数」は、10年に219万人。PTの試算では、これが25年に163万人、50年には108万人に減るとの結果になった。現在の就農者数や定着率、日本の総人口の減少見通しなどから「厳しく見積もった」(鈴木憲和PT副委員長)。
人口の本格的減少社会に向かう中で、農業を外国からの輸入で賄うのか、・・・食料に関しては基本は自国で70%程度は自給できる体制にしておかないと経済的にも大変なことになってきます。
そう考えると、地方は今が一番チャンスだと言えます。
現在は「空き家バンク」というのがあるそうですが、農地も同じように「農地バンク」を作って、農地を確保しつつその農地を就農希望者に貸し出すと言ったことを考えるべきではないでしょうか。
さらに、将来的にはもう一歩進めた、農業法人などの設立なども視野に入れていくことも重要ではないだろうか。
農業法人に関しては改めて、機会を改めて考えてることにしましょう。
なお、これは業業が中心の地域であれば漁師希望者を増やす努力をすべきだと考えます。