大阪市営地下鉄の民営化を考える
大阪市営地下鉄の民営化のメリットデメリット
大阪市営地下鉄が4月から、民営化されるとのことで、発表されました。
社名も大阪メトロ・・・正直このセンスのなさには愕然としたのですが、東京メトロの東京を大阪に代えただけであり、マークも・・・、まぁ、その辺は個人的な感想ですかそれをどうのこうのと言うつもりはありませんけどね。
さて、ここで地下鉄民営化がもたらすメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
ちなみに、東京メトロは、下記のようなロゴマーク
- メリット
- 今までは、交通局という範疇に縛られていて出来なかった、マンション開発など不動産開発を行うことが出来る。
- 駅ナカなどの充実が更に進むほか、新たな割引制度等が開発される可能性がある。
- さらなるサービス改善が見込まれる
- 固定資産税が発生するため、大阪市としては継続的な財源を確保できる。
- デメリット
- 地下鉄の建設には多大の経費を要するため、今後は不採算路線を中心にダイヤの見直しなどが行われる可能性がある。
- 現在行われているバスとの乗り継ぎ割引などの制限が行われる可能性がある。(まぁ限りなく可能性は小さいですが)
- バス路線等は見直しが行われる可能性が高い。
懸念される点
現時点では、大阪市交通局を民営化しても、株式は引き続き大阪市が持ち続けるとされていますが、大阪市が条例を改正して、株式を売却する事も十分考えられることです。
さらに、大阪市を分割しようとする、大阪都構想によれば実質大阪市が保有する株式を各特別区なりが保有することになった場合、区の財政が厳しいからと言って売却する区が発生しないとも限りません。
現在。公共交通のあり方が今まで以上に議論されるべき時期に来ています。
公共交通機関も、ユニバーサルサービスの一環であるとする考え方に立てば、税金を投入しても守るべきものであるという意見もありますし、バスにしろ地下鉄にしろ、その利用者は沿線半径1km(バスであれば500m)以内でありそれ以外の人にしてみればあまりメリットは無いとなれば、水道や電気・ガス・通信事業と比べてユニバーサルサービスの可能性は高いのかと言われると非常に厳しいものがあると考えます。
メリットを享受する地域と受けられない地域が発生してしまうからです。
細かい検証を行っていないので、その辺は改めて検討すべき部分ではあります。
今後市民が監視すべき事は
大阪市民が今後監視していくとすれば、大阪市が当初の約束通り、民営化した大阪メトロの株式を売却せずに、大阪市が100%保有する株式会社として存続させるのか、もしくは株式を売却しても筆頭株主として大阪市の影響力を残せるのか問われることになると思われます。
財政が厳しくなったから財源確保のために地下鉄株式を民間に売却しますにならないでしょうか。
国営企業の民営化から考える民営化の意味
ここで、改めて30年以上前に民営化された二つの国営企業、電電公社と国鉄について考えてみたいと思います。
電電公社が一足早い、昭和60(1985)年に民営化し、JRは遅れること2年昭和62(1987)年に民営化されました。
積極的に民営化を推進した電電公社(現・NTT)と反対の旗色を鮮明にしていた国鉄(現・JR)、NTTが組織温存に成功したのに対し、JRは採用に際して多数の解雇者を発生し、また完全民営化(国としては株式を最終的に殆ど保有しない)方針が打ち出され、四国・北海道・貨物以外は上場を果たしました。
国の関与を残せたNTTは、公衆回線網の維持管理の費用として、ユニバーサル料金の導入を認めさせることに成功した反面、JRにあってはローカル線の維持管理については引き続き、内部留保による相互補助という考え方が主流であり、この辺がJR北海道で顕在化している地方鉄道維持の問題です。
ただ、これはJR北海道に限った話では無く、他のJR並びに大手私鉄などでも今後起こりえる話ですし、実際には地方私鉄などではこうした問題が大きな問題となっており、上下分離方式の導入などで路線を生かしていると言う問題があります。
本格的な高齢化社会と言われる時代の中でより効率的に移動できる手段として公共交通がもっと議論されるべき時期に来ているのでは無いでしょうか。